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関西英語教育学会 第47回KELESセミナーご案内

日時:2019年12月7日(土)13:00-17:00(12:30受付開始)
会場:近畿大学東大阪キャンパス(38号館2階多目的利用室)

〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3丁目4−1
最寄り駅は近鉄大阪線長瀬駅 もしくは 近鉄奈良線八戸ノ里駅 です。

近鉄八戸ノ里駅より、100円で近畿大学前まで直行バスが出ています。

資料代:会員 無料・非会員 1,000円(要事前登録)
事前登録:下記にて,事前参加登録をお願いします。

 

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テーマ 「外国語学習者の言語情報処理の自動化プロセスをさぐる」

 

第1部 シンポジウム 13:10-14:50
『外国語学習者の外国語運用能力はいかに熟達化するか』
鳴海 智之(兵庫教育大学)『日本人英語学習者は文理解時にいかに言語情報を処理しているのか』
橋本 健一(大阪教育大学)『文構造親密度-文理解とのかかわりをさぐる』
島田 浩二(福井大学)『言語の学習・教育を支える認知神経基盤:機能的MRIによる検討』
濱田 真由(神戸大学)『言語産出における文法の役割-統語的プライミングと統語産出能力の発達-』

第2部 講演 15:00-16:10
『外国語学習者の言語情報処理の自動化をめぐって
       -基礎理論と授業実践のインターラクションー』
講師 横川 博一(神戸大学)

 


概要・講師紹介

講演

外国語学習者の言語情報処理の自動化をめぐって
       -基礎理論と授業実践のインターラクションー
講師  横川 博一(神戸大学)

【概要】

わたしたちはことばをどう獲得し,脳内でどう処理し,学習しているのでしょうか。このような課題を解明しようとする学問分野は「心理言語学」と呼ばれています。本講演では,私自身の試行錯誤の連続としての授業実践も踏まえ,最近の科研プロジェクトで取り組んできた外国語の獲得・処理・学習に関する心理言語学研究の成果のうち,「母音挿入は単語の記憶を妨げる?!」「単語の音声と意味の対連合学習はどう進むのか」「母語話者が得意なこと・外国語学習者が苦手なこと」「経験-くりかえし-による学習可能性」「文法操作力と発話理解の関係」などをテーマにご紹介しながら,心的プロセスの解明がどのような授業改善のヒントをもたらしてくれるか,さらには,これからの英語科教育実践の中で大切なことはなにかを考えてみたいと思います。

【講師プロフィール】

神戸大学・大学教育推進機構・教授。専門領域は,心理言語学・英語教育学。主な著書に,中学校検定教科書NEW CROWN English Series,高等学校検定教科書MY WAY English Series(以上,三省堂:共著),『外国語運用能力はいかに熟達化するか:言語情報処理の自動化プロセスを探る』(松柏社,共編著),『研究・教育のための第二言語データベース:日本人英語学習者の英単語親密度<文字編>, <音声編>』(くろしお出版,編著)などがある。

 

 

シンポジウム

日本人英語学習者は文理解時にいかに言語情報を処理しているのか
鳴海 智之(兵庫教育大学)

人間が文を読む際には、それに含まれている様々な言語情報(形態、統語、意味、文脈など)を手掛かりに、文構造を心内でリアルタイムにかつ無意識的に頭の中で組み立てて、内容を理解しています。しかし、私たち日本人が英語を読む際、日本語よりもスムーズに読んで理解することができないのはなぜでしょうか。この発表では、日本人英語学習者の文理解時におけるリアルタイムでの言語情報処理に焦点を当てて、学習者がいかに言語情報を活用しているのか、あるいは、どのような言語情報を活用することが困難であるのかなどについて、最近の心理言語学・神経脳科学実験の結果を紹介しながら考えていきます。

【講師プロフィール】神戸市外国語大学卒業。神戸大学大学院 国際文化学研究科 博士課程前期課程・後期課程修了。博士(学術)。2015年より現職。

文構造親密度-文理解とのかかわりをさぐる
橋本 健一(大阪教育大学)

文レベルの理解処理においては動詞が持つ情報、とりわけ文構造に関する知識を有していること、それらを自動的に使えることが流暢で正確な文理解のカギとなっています。外国語の理解においても、目標言語の動詞の文構造知識の形成、及びその適時の利用が文理解の成否を左右すると考えられますが、その知識がどのように身についていくのか、また身についた知識がどのように外国語文理解のパフォーマンスに影響を与えるかは未解決の課題と言えます。本発表では、日本人英語学習者にとっての英語の動詞の文構造親密度をデータベース化する試みと、そのデータの一部も用いて行われた文理解実験の結果から、上記の課題を検討してみたいと思います。

【講師プロフィール】クイーンズランド大学博士課程修了。近畿大学農学部講師を経て,2014年より大阪教育大学教育学部准教授。専門は第二言語・外国語における心理言語学と英語教育学。

言語の学習・教育を支える認知神経基盤:機能的MRIによる検討
島田 浩二(福井大学)

言語は、生物学的に進化した能力に基づく累積的な文化進化の産物として見なされ、ヒトの社会能力の中でも他者から学ぶことや他者へ教えることが文化進化にとって決定的な役割を担うとされる。特に、教えることの典型的な例として、ある世代の親たちが次世代の子どもたちに言語の知識やスキルを伝達することで、世代を超えた言語の文化的継承が達成されることに繋がる。本発表では、言語の教育を支える認知神経基盤に関する研究の一端を紹介し、言語の学習・教育の応用分野との連携による学際的発展の可能性について探っていく。

【講師プロフィール】生理学研究所心理生理学研究部門研究員、福井大学子どものこころの発達研究センター特命助教を経て、2019年より現職。専門領域は、認知心理学・認知神経科学。

言語産出における文法の役割-統語的プライミングと統語産出能力の発達-
濱田 真由(神戸大学)

円滑で効果的な発話を行うためには、語彙および文法の処理の自動化が不可欠ですが、日本人英語学習者を含む英語を外国語として学ぶ学習者は、文法の処理で負荷がかかり流暢なアウトプットにつながらないと指摘されています。しかし、外国語学習者の言語産出時の統語処理プロセス、およびそのプロセスがどのように学習されるのかについては、十分に明らかにされているとは言えません。
本発表では、第一言語および第二言語としての英語学習者を対象として、言語産出時の文法の役割について統語的プライミング効果の観点から検証を行った研究について紹介し、これらの言語処理時の認知メカニズムの解明を目的とした研究から得られた知見をどのように外国語教育に活かすことができるのか、考えていければと思っています。

【講師プロフィール】神戸大学国際コミュニケーションセンター助教。神戸大学大学院国際文化学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。研究分野は心理言語学および英語教育学。

 

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お問合せ

事務局 大阪教育大学 橋本 健一 kelesoffice@gmail.com
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