特別講演
タイトル | Informing and Transforming Language Teacher Education Pedagogy: Responsive Mediation in Learning-to-Teach |
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講師 |
Professor Karen E. Johnson (The Pennsylvania State University) |
概要 |
This plenary provides an insider’s look at the meaningful role that L2 teacher educators and L2 teacher education play in the professional development of L2 teachers through systematic, intentional, goal-directed, theorized L2 teacher education pedagogy. Empirical evidence is provided of the moment-to-moment, asynchronous, and at-a-distance responsive mediation that takes place in cohesive practices that I have designed, repeatedly implemented, and subsequently collected data on in my own L2 teacher education program. Responsive mediation is positioned as the nexus of mindful L2 teacher education and proposed as a psychological tool for teacher educators to both examine and inform the ways in which they design, enact, and assess the consequences of their own L2 teacher education pedagogy. |
講師プロフィール |
Karen E. Johnson is Kirby Professor in Language Learning and Applied Linguistics at The Pennsylvania State University. Her research focuses on teacher learning in L2 teacher education, a sociocultural perspective on L2 teacher professional development, narrative inquiry as professional development, and the dynamics of communication in second language classrooms. Her most recent books include Second Language Teacher Education (2009), Research on Second Language Teacher Education (2011) and Mindful L2 Teacher Education (2016) published by Routledge. Dr. Johnson has presented papers and given workshops for second language teachers and teacher educators in Brazil, Hong Kong, Japan, New Zealand, Taiwan, Turkey, Singapore, South Africa, and throughout the US. She serves as associate editor of the Practitioner Research section of Language Teaching Research. In the MA TESL and the Ph.D. in Applied Linguistics degree programs, she teaches courses in Teaching English as a Second Language, Teaching L2 Writing, Communication in Second Language Classrooms, and Theory and Research in Language Teacher Education. |
①課題研究フォーラム1年目
担当:九州英語教育学会
タイトル | 「アクティブラーニングを考える ~これまでの実践と今後の方向性を見据えて~」 |
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登壇者 | コーディネーター 山川 満夫(沖縄国際大学) |
提案者 | 新川 美紀(伊是名村立伊是名小学校)・上原 明子(琉球大学教育学部附属中学校)・グレイ雅美(沖縄県立小禄高等学校)・上原千登勢(沖縄国際大学) |
概要 | 次期学習指導要領では,「主体的・対話的で,深い学びの実現」が,改訂の大きなポイントの1つとなっている。その実現に向けたアクティブラーニングの実践は,英語教育においても重要な要素であり,様々な指導の工夫が求められている。言うまでもなく,アクティブラーニングはそれ自体が目標ではなく,目標実現に向けた手法として捉える必要がある。また,この手法は,これまでと異なった目新しいものではなく,英語教師なら誰でも少なからず取り組んできた実践でもある。大切なことは,この手法をより意図的,計画的そして組織的に取り組み,常に指導改善していく姿勢だと考える。さらに,アクティブラーニングを通して学んだ多様な考え方,協働的な学び,さらには自己表現することの大切さは,自立した学習者を育むだけでなく,将来に渡り社会貢献できる人材の育成にも繋がるのである。そこで,このフォーラムでは,小学校において英語が教科化になることを踏まえ,小中高大の連携を意識し,それぞれの発達段階におけるアクティブラーニングの実践を報告する。具体的には,小学校では子供の考えを深める課題や活動をつくる指導の工夫,中学校では質の高いコミュニケーション能力の育成を目指した知識構成型ジグゾー法を中心に,高校ではパフォーマンステストとその評価の工夫,大学ではTOEICのリスニングとリーディングの教材を活用した指導の実践を紹介する。 |
担当:関東甲信越英語教育学会
タイトル | 「日本人高校生の名詞句把握能力はどのように伸びていくのか-縦断的研究から見えてくること-」 |
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登壇者 | コーディネーター兼提案者 臼倉美里(東京学芸大学) |
提案者 | 鈴木祐一(神奈川大学)・伊藤泰子(神田外語大学)・加藤嘉津枝(日本大学)・矢部隆宜(目白研心中学・高等学校)・冨水美佳(東洋大学京北中学・高等学校) |
概要 | 関東甲信越英語教育学会の研究推進委員会では,ここ数年に渡り,日本人高校生の英語力の実態調査を行っている。本フォーラムでは,日本人高校生の名詞句把握能力の実態と経年変化を調査する目的で行っているリサーチの途中経過を発表する。 今回のリサーチは,2014年の徳島研究大会と2015年の熊本研究大会における課題研究フォーラム(関東甲信越担当)で金谷憲氏他により発表された内容(「中学英語の定着―卒業までに主語把握はどのくらいできているか―」「中学英語の定着とは?―10 年間の実証研究を踏まえて―」)の追研究として位置づけることができる。この2回の課題研究フォーラムでは,中学生の名詞句(主語位置)把握能力の発達に焦点を絞り,「Billy’s Test」を用いて中学3年間の経年変化を調べた結果が報告された。その報告から,中学校3年間では名詞句把握能力は十分に身につかないということが明らかにされた。これを受けて研究推進委員会では,高校生にまで対象を広げて,名詞句把握能力に関する更なる縦断的調査を行うことにした。「Billy’s Test」に分詞や関係節を含む名詞句を加えた「Koukousei Billy’s Test(KB Test)」を作成し,関東圏の学校に通う高校生に定期的に受験してもらい,高校生の名詞句把握能力の発達状況を明らかにすることを目指している。本フォーラムでは,1年目の成果として,高校1年生を対象に年間3回に渡り実施したKB Testの分析結果を報告する。 |
②課題研究フォーラム2年目
担当:東北英語教育学会
タイトル | 「ワーキングメモリ機能にみる小・中学生の認知的特徴」 |
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登壇者 | コーディネーター兼提案者 佐久間康之 (福島大学) |
提案者 | 齊藤智 (京都大学大学院)・髙木修一(福島大学) |
概要 | 本フォーラムは,昨年度発表を行った課題研究の2年目である。認知発達が顕著な段階にあって、定期的に小学校外国語活動を経験してきた小学生と中学生を対象とし,英語学習が認知機能へ及ぼす特徴として、言語学習に直結する認知機能であるワーキングメモリ内の「実行機能(中央実行系)」と「音韻ループ」の1年後の変容の特徴を明らかにする。具体的には,昨年度紹介した次の3点,1.二言語(日本語と英語)情報の注意能力及び自動化(ストループ・逆ストループテスト),2.二言語の短期記憶容量(デジット・スパンテスト),3.英語の音韻情報の認知と産出(英語の非単語反復テスト)に焦点を当てる。小学生と中学生では英語のインプットに違い(活動vs. 教科)はあるものの,これらの言語情報は頻繁に接触する刺激であるため,なんらかの形で学習者の長期記憶に保持されていると思われる。そこで,学習者の認知発達段階の違いも踏まえつつ,小学生と中学生の短期記憶と長期記憶の間での検索に関する機能的特徴を探り,今後の英語指導の在り方を模索していく。 |
担当:中部地区英語教育学会
タイトル | 「小中高大連携の英語とCLIL—思考力と4領域5技能統合へのTrack—」 |
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登壇者 | コーディネーター兼提案者:柏木 賀津子(大阪教育大学) |
提案者 | 山野有紀(宇都宮大学)・村上加代子(神戸山手短期大学)・伊藤由紀子(大阪成蹊大学)・李静香(大阪府大阪市立木津中学校)・森田琢也(大阪府立箕面高校)・工藤泰三(名古屋学院大学) |
概要 | 新学習指導要領を概観すると,外国語科の授業においても地球視野で物事を考え,学習仲間と協働し,新しい価値観を創り出していく授業が求められていると感じる。発表者たちは,このようなグローバル・シティズン育成を目指しながら,児童・生徒たち誰もがわかる英語の授業創りをおこない,生徒が英語力をつけ,未来への夢を拡げてほしいと願っている。CLILの授業創りでは4つのCを基本に,学びの梯子(スキャフォルディング)のある言語活動場面で思考を深める際に,4領域5技能を統合的に育てることが大切になる。【小学校】では,CLILの文構造の気づきを促す学びと「MY アルファベットブック」を組み合わせた音韻認識の学びを統合した活動を紹介する。【中学校】では,地球温暖化の過程を知り,持続可能な社会を実現するために,環境や資源を大切にすることの必要性について気づき,資源を守るために3Rについて意見を発表する様子を報告する。【高校】では,40人学級50分の授業で,内容理解段階だけで終わらない,5技能と学習内容を統合していくCLIL授業例を紹介する。【大学】では,大学生を対象とした地球的課題を題材とするCLIL授業の有効性について検討する。英語運用能力の伸長とともにグローバル・シティズンシップの涵養をねらいとし,同時に高次思考力の向上を期待している。これらの授業をとおして,英語教師が,未来の社会に果たす役割についてもフロアと意見交換を行いたい。 |
③授業研究フォーラム
担当:北海道英語教育学会
タイトル | 「コミュニケーション能力の育成を意識したライティング活動の実践―中学校から大学まで応用可能な指導法の提案―」 |
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登壇者 | コーディネーター:中村 香恵子(北海道科学大学) |
提案者 | 石塚博規(北海道教育大学)・青木千加子(北海学園大学)・小野祥康(北海道教育大学附属旭川中学校)・三ツ木真実(北海道文教大学) |
概要 | 北海道英語教育学会e-learning SIGでは,英語学習のためのICTの効果的活用について実践的研究に取り組んでいる。CALL(Computer Assisted Language Learning)は,自分のペースでコミュニケーションに対する不安を感じずに課題に取り組めることに加え,共時性・通時性コミュニケーションを可能にする機能等により,協働学習やピア・ラーニングをより効果的・効率的を進めることができる。 本発表では,コンピュータを媒介とした協働学習によるL2ライティング活動を紹介する。初めに中学校で行われている協働学習によるライティング活動を紹介し,同様の活動が大学でのMoodleを用いた実践でどう発展させることが可能かを提案する。さらに,正確さ,流暢さを高めることを意図した協働学習として,ICTを活用したクリエイティブ・ライティング,ディスカッションのプラニングを活性化させるためのチャットの活用を紹介し,得られた学習効果を報告する。 |
担当:四国英語教育学会
タイトル | 「リーディング・ライティングの継続的な指導の考察-小学校中学年から高校につながる指導を考える-」 |
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登壇者 | コーディネーター:畑江美佳(鳴門教育大学) |
提案者 | 長倉若(コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ)・池尻早紀(高知県いの町立川内小学校)・深澤信也(熊谷市教育委員会)・堀米美恵子(大阪府箕面市立第四中学校)・森田浩平(宮崎県立宮崎大宮高等学校) |
概要 | 2020年度より全面施行される小学校新学習指導要領において,小学校高学年の外国語が教科となり,「読む」「書く」の指導が開始される。それに伴い,中学校では,「社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことから把握した内容に基づき,自分の考えや気持ち,その理由などを書く活動」等が含まれる。さらに高等学校においては,より高度で精度の高い「読む」「書く」力が求められることになる。今後,小学校が英語教育のスタートと正式に位置付けられ,リーディング・ライティングにおいても,小・中・高の継続的・発展的な指導が重要となる。 本フォーラムでは,小学校で「読む」指導を実践されている教員による提案を行う。中学年では,マザーグースの歌を活用し,流ちょうに読む力をつける授業実践,高学年では,音と文字とを結び付けるフォニックスによる読み書き等の授業実践を発表する。その後の中学校,高等学校では,インプットされた情報や自分の考えを整理しながら,論理的に「書く」力をつけるための効果的な指導法についての提案を行う。特に,“型”のモデリングに終わりがちなパラグラフライティング指導が多い中で,パラグラフは一つの考えを述べるものという基本的な理解を習得してもらいたい。そのためには,自分の考えをしっかりとまとめるためのpre-writing活動にも注力し,読み手が読みやすい論理を形成するための“つなぎ言葉”を使えるようにする。「読んで書く」という活動の繰り返しで,クリティカルな思考の醸成を目的とする指導法を探る。 |
④ワークショップ
(1) 「英語教員養成・研修コア・カリキュラム」のビジョンとその実現に向けて
講師 | 粕谷恭子(東京学芸大学) |
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概要 | 文部科学省から委託を受け,東京学芸大学では2015・2016年度の2年間にわたって「英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業」に取り組んだ。その成果として「小学校 養成」「小学校 研修」「中・高等学校 養成」「中・高等学校 研修」の4つのコアカリキュラムを提案した。教員養成に関わるコアカリキュラムは平成31年度開設用再課程認定にも適用され,各大学においては提出資料の作成に忙殺されたことは記憶に新しい。「教職課程コアカリキュラム」も作成され,教員養成における各大学の個性や裁量が発揮しづらい印象がある。 教育の質の向上は,教員の質の向上なくして,実現しえない。コアカリキュラムという枠の中で,教員養成・教員研修に携わる私たちが向き合うべき課題にはどのようなことがあるだろうか。各大学が使命と掲げる教員養成を行うために,限られた時間・予算の中で効果的な教員研修を行うために,何を考え,どんな知恵を絞り,どう動けばよいだろうか。本ワークショップを通してご一緒に考えたい。 |
(2) 授業分析の視点とフィードバック
講師 | 髙橋一幸(神奈川大学) |
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授業者 | 山﨑 寛己(大阪府・松原市立松原第七中学校) |
概要 | 新学習指導要領に基づき2020年度から小・中・高と年次を追って実施される新教育課程では,高等学校と同様に中学校英語においても「授業は英語で進めることを基本とする」こととなる。同時に,小学校英語は「外国語活動」の開始が中学年へと早期化,高学年では「外国語」として教科化され,高校英語では,科目が再編成され,小中での学習を基盤にして言語活動の高度化が図られ,大学入試も4技能型に移行することが検討されている。小学校英語は今年度(2018年度)から移行期に入り,文科省編の教材(中学年のLet’s Try! や高学年のWe Can! )を使った指導が始まるが,未だ暗中模索状態であり,中学校英語教師にとっては,言語材料の既習/未習,更にはその定着度と補充指導がどれだけ必要かの判断も非常に難しい問題となろう。小学校英語を生かすも殺すも,また,高校での言語活動の高度化への素地を作るのも中学校の授業の質にかかっている。中学英語はかつての白紙からのスタートではなく,小と高とを結ぶ「扇の要」としての極めて重要な役割を担うことになる。 このような観点から,今年度教職7年目で教師としての成長真っ盛りの山﨑寛己先生に公立中学校での英語授業を公開いただき,小中高のこれからの学校英語教育を俯瞰しながら,中学英語授業の課題,Action Researchをふまえた授業改善への視点と方法を,授業者,参加者の皆さんと共有し,プロとしての教師の成長を促す授業改善の在り方について検討したい。 (3) |
英語読み聞かせの極意 ー英語を読む楽しさの原点ー
講師 | Kevin Churchley (秀明高等学校, Oxford University Press) |
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概要 |
For thousands of years storytelling has been a key means of instruction and social bonding. In ancient times, stories were the prime method of preserving a society’s cultural history and identity. The influence that stories have had on human development and world history is so vast that it would be difficult to quantify. Reading stories in English can help us to tap into some of the storyteller’s magic. The narrative flow of a story provides an efficient structure for organizing knowledge and an effective way to find it later. Stories create opportunities to directly experience language rather than merely study it and to encounter new language in an accessible setting. Children love stories and enter into story worlds easily. In fact, a child may feel so powerfully engaged in a story, that they later recall their story-experience with as much detail and emotional interest as personally lived events. Stories have the power to transform a classroom of disparate noisy children into silent absorbed unity. Today, stories remain relevant and forefront. Stories can help us to empathize with unfamiliar people and places; encourage us to consider new ideas, thoughts and feelings. Stories activate the thinking process. Stories inspire, inform, weave magic, engage, enhance and empower. Stories bring learning to life. “When a story is told well, we listen in a special way, entering the story ourselves. Our imaginations are fired up. We connect psychologically, emotionally, intellectually. We are there.” |
⑤シンポジウム
テーマ | 「日本の英語教育の将来—新学習指導要領で何が変わるのか、何を変えるのか、何を変えないのか—」 |
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コーディネーター | 松沢伸二(新潟大学) |
パネリスト | 佐藤裕子(船橋市立若松小学校)・吉田喜美子(吉野ヶ里町立三田川中学校)・宮崎貴弘(神戸市立葺合高等学校) |
概要 | 学校の教員は,「学習指導要領には書かれていないが私達が大切にしているもの」も指導目標にするという考え方で,自ら特定の技能等を選び,育成する。海外の学習指導要領等が明記しているが日本の新学習指導要領が明記していないものに,①媒介技能(mediation skills),②言語学習の技能(language-learning skills),③汎用的技能(generic skills)の育成がある。媒介技能は口頭や書面の訳などができる技能,言語学習の技能は記憶を助ける技術を活用するなどの技能,汎用的技能は協働技能や問題解決技能などの学習の基盤となる技能である。新学習指導要領下の日本の学校英語教育では,教員はこの3種類の技能の育成をどう捉えて指導と評価を行うべきか。本シンポジウムは「小学校学習指導要領第10節外国語」(平成29年3月),「中学校学習指導要領第9節外国語」(平成29年3月),「高等学校学習指導要領第8節外国語」(平成30年3月)の3編の新学習指導要領を対象とする。各シンポジストが小・中・高での各自の実践などを基に,上記3種類の技能の育成についての意見を発表し,フロアと考えを交換して,社会がグローバル化し,AIに基づく自動音声翻訳が日常化する将来における日本の英語教育のあり方について理解を深めたい。 |
⑥大学生・大学院生フォーラム
第6回大学生・大学院生フォーラム
(1日目) | 大学生・大学院生のための交流の場 |
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司会 | 木村雪乃(獨協大学) |
(2日目) | 大学生・大学院生のための論文執筆支援セミナー |
講師 | 名畑目真吾(共栄大学) |
概要 | 京都研究大会における本フォーラムは,大会2日間の昼休みを利用して行われます。大会1日目には参加者の皆さんで昼食をとりながら,研究分野や希望進路別にグループを作り,情報交換の場を提供します。大会2日目には学生向けの論文執筆支援セミナーとして,基本的な論文の書き方から,英語論文執筆に役立つツールの紹介,統計分析の勉強方法など学位論文や投稿論文の執筆に役立つ情報をできる限り多く提供します。 |
⑦ランチョン・セミナー
(1)Re-conceptualizing Teachers’ Narrative Inquiry as Professional Development
講師 | Professor Karen E. Johnson (The Pennsylvania State University) |
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概要 | In this seminar, I offer a more nuanced characterization of teachers’ narrative inquiry as professional development (Johnson & Golombek, 2002) by grounding the definition of and empirical research on teachers’ narrative inquiry from a Vygotskian sociocultural theoretical perspective. My goal is to reaffirm the belief in the educational value of teachers’ narrative inquiry as “systematic exploration that is conducted by teachers and for teachers through their own stories and language” (p. 6), while empirically documenting the crucial role of teacher educators in creating mediational spaces, dialogic interactions, and pedagogical tools for teachers’ narrative inquiry to flourish as professional development. It is also my goal to re-conceptualize teachers’ narrative inquiry as unbounded by time and place, and as a more fluid and emerging process. |
(2)授業研究の新しい展開:現象学的アプローチとリフレクティブ・プラクティス
講師 | 玉井健(神戸市外国語大学) |
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概要 | リフレクションは教育・研究における有用性が喧伝されていますが,その一方で概念解釈や理論的基礎づけが十分になされないまま実践に付されている例が多く見られ,リフレクションの本質そのものがゆがめられているような実践やガイドライン(ふり返り状況を質問紙で数値化したり,ふり返りと学習効果を因果的に結びつける言説)も少なからず見受けられます。異なる領域,個々の実践者や研究者による解釈の異なりは当然あるにせよ,リフレクションには確固とした本質的理念があり,実践において踏み外せないフレームワークもあるのです。アイルランドの看護系大学では,臨床看護士養成カリキュラムにリフレクティブ・プラクティスが必修科目として取り入れられ,4年間という長い時間的プロセスの中で教育実践が行われます。そこではファシリテータの支援の下で,深い人間理解を目指した教育が行われているのです。 本セミナーでは,リフレクションを実践の中核に据えた質的授業研究法としてのリフレクティブ・プラクティスに焦点を当てます。まず,1)リフレクションという営みの本質的意味を様々な定義を比較しながら考え,次に,2)Dewey, Kolbらの経験主義理念からの検討を行います。最終的には,3)質的研究方法の中でも心理学や文化人類学的なアプローチとは異なる位置づけを持つ現象学的アプローチに立ったリフレクティブ・プラクティスについて議論します。質的研究方法としての現象学的アプローチは,哲学で言う存在論や実存主義的な視点からティーチングを記述分析する方法で,実証主義的方法に限界を感じている実践研究者には新たな地平を拓くものと考えます。 |
(3)音読指導によるバランスのとれた英語力育成の理論と実践
講師 | 安木真一(京都外国語大学・短期大学) |
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概要 | 音読指導は望ましい姿で実施されているのであろうか。ベネッセコーポレーションの「中高の英語指導に関する調査2015」において,中学校教員,高校教員とも音読を最も実施している活動に挙げ,中学教員の98.1%,高校教員の94.7%が「よく行うまたは時々行う」と答えている。しかし同調査によると教科書を発展させる活動に関しては,「英語で教科書本文の要約を話す」を「よく行うまたは時々行う」は中学で29.7%,高校で33.7%, 「英語で教科書本文の要約を書く」に関して「よく行うまたは時々行う」は中学で14.9%,高校で28.9%となっている。つまり音読指導は実施されているがアウトプット活動までつながっていない実態があると考えられる。 発表者は中学校,高校,高専,短大,大学で英語を教えて来たが,音読こそが様々な年代の様々な学力の学習者に対して核になる英語指導法であり,その後のアウトプット活動へと結びつけることが重要であると,自身の経験と研究から確信している。本セミナーでは,発表者の現在までの実践,研究に基づき音読指導の目的,理論的背景,基本となる音読の手法と実施上の留意点をワークショップ形式で紹介した後,現在の勤務校における,音読中心の指導をグループプレゼンテーションやインタビューテストに結び付ける実践を紹介する。参加者と共に音読指導とその後の望ましいアウトプット活動の方向性を探りたい。 |
(4)ジグソー法で高次思考を鍛える—高校英語のデザイン—
講師 | 溝畑保之(大阪府立鳳高等学校) |
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概要 | 最近は,英語科以外の教科で,知識構成型ジグソー法の事例がたくさん報告されています。これらは母語を使用した内容学習で,外国語を使用したジグソー法となると,実施に困難がともないます。そして,外国語学習において,高次思考に分類される「応用,分析,評価,創造」を,ジグソー法で鍛えることは不可能ではないかという疑問がつきまといます。 音読を核とする4技能型指導を「コミュニケーション英語」で実施する普通高校でのジグソー活動を紹介いたします。平成28,29年度の各考査期間に,一回以上のジグソーを生徒が体験しました。この実践では,10時間程度をかけ基礎を重視する4技能型指導と,2時間程度で行うジグソー法をバランスよく位置付けることができました。ジグソー活動では,協働学習形態を通じて協調精神を培いながら,即興性を重んじ,高次思考を扱いました。 4技能指導の基礎基本と「深い学び」につながる高次思考使用の関係を探ります。そして,「理解・記憶」に止まってしまいがちな高校英語のデザインについて提案を行います。 |